『航海記』読書席三年後版 言壺装 限定20部
¥38,500
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『航海記』読書席三年後版
2016年に30部限定で発行された初版『航海記』から8年の時を経て、新しいレイアウト、造本設計で作られた『航海記』読書席三年後版となります。
本文の活版印刷は、弘陽の三木弘志氏によるもの。線画の凸版は、赤井都氏による海の線画で、赤井氏がグラデーション凸版印刷で1枚1枚押しています。美しい色彩表現をお楽しみください。
装丁は3種類。言壺装は、石原実氏によるマーブル染の表紙。海の光や深い水底を感じさせる、眩く奥行きのある装丁に、赤井都さんの世界観が詰まっています。
言壺装
ずいぶん前に、15年くらい前か、惚れこんで購入したマーブル紙の一部分を使って、まだ残っている部分があった。
また、前に、12年くらい前か、惚れこんで購入した雑草の手漉き和紙があり、柔らかくて自立せず、また繊維の部分は硬くて印刷に向かなくて、好きだけれどずっと持っていた和紙があった。和紙の職人さんから、できた豆本を見たいです、と言われていたのだけれど、こちらが紙が活きる形を思いつくまでに時間がかかり、2年ほど前に紙漉きを辞められたと伝え聞く。
他にもそうした物があった。
懐かしくて、前からずっと好きで、今も変わらず好きな物。
そうした物を集めた、私らしい自然さの本。
ここ数年で進めた研究で、和紙の保全のためにトップコートに何を塗るかを、自由な発想でしてみた。海の物は、キラキラしていることが多いから、砂浜で見つけた物のように、函をのぞき込んで、どうしてここはキラキラしているのだろう、どうしてここは流れてしまっているのだろう、といつまでも見ていて欲しい。
これらの本文の紙は、耳つきで印刷したので、両面は少しずつずれている。それでもいいからと文字を活版印刷してもらった。
挿画の印刷をするために、製版の準備を何か月もしていた。暑い夏だった。印刷をしていると、日は長いのに、それでも夕暮れになってしまう。夕暮れの窓の左側に、泣きたいような忘れな草色になる部分がある。その色を再現するように定着するように刷った。
本文の紙の表面は、完全に平らではない部分がある。そこでインキが抜けたり、かすれたりする。それも構わないと思う。
この紙を使いたかったから。
白色度は、この紙にしては不思議なくらい白色かもしれない。
海の物は、眩しくていい。
紙は裏移りしないように、そして一冊の厚みが出るように、厚い紙を選んだ。これを折って本の形にするために、私の製本家としての技術が高みに上った。
赤井都(豆本作家・ブックアーティスト)
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耳つき手漉き紙本文活版印刷32ページ グラデーションカラー凸版挿画13枚入り
麻糸手かがり 雁皮刷り挿画綴じ込み 手染め紙表紙(石原実)ガラスビーズ付 くいさき外題貼り込み
本H76×W58×D10mm
手漉き紙貼り函H88×68×28mm
限定20部
38,500円(税込)
納品は、2025年1月下旬を予定しています。納品は来年ですが、先にお支払いいただく形となります。
染紙は、1枚1枚手で染めているため、かすれ具合やにじみ具合など、少しずつ表情が違います。ご承知おきください。
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奥付
文・絵・書籍設計 赤井 都
金属活字整版・印刷 三木 弘志(弘陽)
企画・レイアウト 新谷 佐知子
染紙 石原実
本文紙 明光ワークス アート工房和奏
発行 山小屋ブックス